サイバーパンク2077とは
『サイバーパンク2077(Cyberpunk 2077)』は、「ウィッチャー(The Witcher)」シリーズで知られるポーランドのCD Projekt REDが開発中の一人称視点オープンワールドRPGです。
(日本のPS4版パブリッシャーはスパイク・チュンソフトです)
日本公式サイト
正式な発売は9月の予定(11月19日12月10日に延期されました)ですが、すでに予約販売が始まっています。
(詳細はサイトをご覧ください)
CD Projekt REDによる「ウィッチャー」シリーズは、ポーランドの小説『魔法剣士ゲラルド』シリーズを原作に作られており、中世ファンタジー世界を舞台とする豊富なストーリーがゲーム内でも展開されていることで知られています。
それゆえ、同社の「サイバーパンク2077」でも、ストーリー部分に期待が寄せられています。
「サイバーパンク2077」では、似たようなものにならないよう、クエストはすべて自動生成ではなくカスタムメイドで、メインクエストの他にサブクエストがあり、更にストリートストーリーというクエストもあるそうです。
メインストーリーは分岐に次ぐ分岐、という感じになっていて、主人公「V」の着ている服次第でストーリーが分かれたりもするそうです。(服もカスタマイズできます)
それでいてプレイヤーをエンディングに導かないといけませんから、物語は非常に複雑な組み合わせになっている様子です。
開発者は「今世代での最高の功績を残す」と語っており、作品の出来が今から大変楽しみです。
なぜポーランドのタイトルに多くの日本要素が?
さて。そんな「サイバーパンク2077」の公式動画やスクリーンショットなどを見ると、背景にもストーリーにも名称にも「日本要素」が頻出している事が分ります。
日本のゲーム市場はスマホゲーを除くと小さい (例:2018年のPCゲーム市場日本545億円、アメリカ4651億円、中国2899億円、韓国6048億円。家庭用ゲーム市場アメリカ1兆33億円、日本3579億円……等々)ので、ジャパンマネーをあてにした、ということではないでしょう。
19世紀後半の日本で設立された "アラサカ社" は、企業セキュリティや上流階級向けのバンキングサービスを主眼に置く超巨大企業だ。2077年、最も影響力のある大企業の1つとなった同社の手掛ける兵器や軍用車両は、警察や警護隊からの需要も高い。#サイバーパンク2077 pic.twitter.com/Mt4vZnbRHV
— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) April 16, 2020
サブロウ・アラサカ(荒坂 三郎)
1919年、東京生まれ。齢158にして、2077年の世界でもいまだアラサカ社のトップに君臨。一代でアラサカを大帝国にまで築き上げた。#サイバーパンク2077 pic.twitter.com/A9isv3LZVr— CD PROJEKT RED Japan (@CDPRJP) September 26, 2020
最大の権力者は日本語しか話さない日本人だったり……。
たとえばこういうもの……「YAIBA KUSANAGI」は主人公「V」の乗るバイクのことです。(YAIBAはゲームに登場する日系の自動車メーカー。他にも日本企業が複数、登場します)
武器に「日本刀」も登場しますし、ゲーム内の街には日本語の看板も数多く見られます。
「SAMURAI」はゲームに登場するバンドの名前。複数の楽曲がすでに配信中です。
原作『サイバーパンク2.0.2.0.』より
日本要素の理由の一つ目は、「サイバーパンク2077」の原作である、テーブルトークRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』によるもの。
「サイバーパンク2077」は原作者と綿密に遣り取りし、世界観をほぼ忠実に再現して作られているのだそう。
1988年に発売されたテーブルトークRPG(TRPG)「サイバーパンク2.0.2.0.」は、「サイバーパンクの集大成」とも言われる伝説的な名作……なのだそうですが、知る人ぞ知る……かなぁ、という気も。コンピューターゲームより前の話ですしねぇ……。
ざっくり言うと、そもそもサイバーパンクは80年代に流行したSFのジャンルの一つです。
1984年発売のウィリアム・ギブスン著のSF小説『ニューロマンサー』あたりが嚆矢かと思いますが、これもお話は千葉(チバ・シティ)から始まっていましたね。
で、この頃の日本はバブル景気でした。黄禍論というか日本脅威論という感じで、「日本が世界を支配する」みたいな意見もチラホラあり……まぁ、そうはならなかったのは皆様よくご存じの通り。
ですが、日本企業=なんかよくわからないけどすごい先端技術を持った巨大な悪の組織、というイメージは、当時非常に流行したワケです。
「サイバーパンク2.0.2.0.」にもそれが取り入れられていまして、たとえば物語全般に登場する「日系巨大企業アラサカ」。「その影響力は2020年のナチスと言われている」とか……。
日本人からしたら、「ええぇ……(困惑)」という感じではあります(笑)
日本企業アラサカは、前述の通り「サイバーパンク2077」でもガッツリ健在です。
『サイバーパンク2077』の原点!サイバーパンク・ムーブメントの集大成といわれた伝説のTRPG『サイバーパンク2.0.2.0.』とは?
『AKIRA』や『攻殻機動隊』の影響
『AKIRA』や『攻殻機動隊』、『バブルガムクライシス』、『装甲騎兵ボトムズ』などの日本のSF漫画やアニメが欧米に紹介されたのも、丁度80年代でした。
バブル期のイケイケどんどんな日本と、日本人の描くちょっと猥雑なSF世界イメージが合わさって、サイバーパンクの世界によく見られる、「やたらハイテクで企業戦士な日本像が出来上がった」という流れのようです。
とはいえ、『サイバーパンク2.0.2.0.』の原作者マイク・ポンスミス氏によると、『サイバーパンク2.0.2.0.』を製作した当時は、まだこれらの影響を受けていなかったそう。
しかし『サイバーパンク2077』を開発するにあたっては、日本のアニメに影響を受けている部分はたくさんある、とし、『AKIRA』そして『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の名前を挙げています。
『サイバーパンク2077』のもとになったTRPGの原作者マイク・ポンスミス氏に直撃! 『AKIRA』や『攻殻機動隊』にもインスパイアされた2077年のナイトシティ【E3 2019】
開発者も「攻殻機動隊」はシリーズ全作品を観てもっとも参考にした、とし、「AKIRA」についても触れています。一方で「ブレードランナー」については、参照にしたもののひとつ、と語っているものの、前者ほどではなさそうです。
Interview: CD PROJEKT Red’s John Mamais talks Cyberpunk 2077’s creation, VR, DLC, Nintendo Switch, and more
元々「サイバーパンク」というジャンル自体に、時代背景的に(バブル期の)日本のイメージが大きく反映されていること。そして原作者や開発者が日本のアニメやゲームに影響を受けていること。
これらにより、思いがけず多くの日本要素がゲームに登場することになった、ということのようです。
(ゲームクリエイトと日本は切り離せない、ゲーム開発者は日本のすべてのゲームタイトルに影響を受けている、と回答しているインタビュー記事もありました。たとえばコーエーの『仁王2』は、開発チームが今とても関心を寄せているタイトルのひとつだとか。リップサービスだとしても嬉しいですね)
もっとも、サイバーパンクというジャンルが流行り始めた80年代と違い、今は中国の影響の方が大きいでしょうから、実際のゲーム内で、そのあたりがどうなっているかは不明ですけれどもね……。
それでは、今回はここまで。
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