テレビ東京「ワールドビジネスサテライトWBS」で放送された、プラチナのような輝きと重厚感を持つ、日本生まれの新金属「コバリオン」(COBARION)が気になったので、調べてみました。
「コバリオン」とは
「コバリオン」(COBARION)とは、東北大学金属材料研究所の千葉晶彦教授が株式会社エイワと協力して開発した新しい金属で、コバルトクロム合金というものだそうです。
従来の金属製品には、加工のしやすさからニッケルが多く含まれていましたが、金属アレルギーを引き起こす要因としてもトップに挙げられるのがニッケルです。
千葉教授は金属アレルギーで苦しむ人のために、ほとんどニッケルを含まない「コバリオン」を開発したそうです。
「コバリオン」は金属アレルギーに悩む人にとって「夢の金属」と言われています。
ただし(11月2日の放送では触れられませんでしたが)金属アレルギーはニッケルばかりが原因ではありません。ニッケルアレルギーの人よりも割合は少ないものの、コバルトアレルギー、クロムアレルギーの人も存在します。
後述しますが、「コバリオン」は、アレルギーを起こしにくい構造のようです。が、「絶対」はないのでしょう。
「COBARION」は財団法人いわて産業振興センターの登録商標です。
★ 株式会社エイワ コバリオン
金属アレルギーのしくみ
金属アレルギーは、金属が溶けてイオン化し、それが皮膚から体内に入ってアレルギー反応を起こすものです。
イオン化しやすい金属は、以下の順。
水銀>ニッケル>コバルト>スズ>パラジウム>クロム>亜鉛>銅>銀>プラチナ>亜鉛>金>チタン
金銀プラチナはイオン化しづらい金属ですが、アクセサリー類は加工のために他の金属を混ぜていますので、その部分が金属アレルギーの要因になっています。
たとえばメッキはニッケルですし、色が銀と似ているので、銀と混ぜてあることもあります。プラチナ900というのはプラチナが900でパラジウムが100のことです。
夢の金属としてすでに商品化
「コバリオン」がどのような配分になっているのかはたぶん企業秘密なのだと思いますが、ニッケルを極限まで減らした上、溶出しづらいようになっているそうです。
また、ステンレスの2倍、シルバーの4倍という高硬度で傷が付きにくく、錆びにくく、温泉で着用しても変色しにくいそうです。温泉とか、普通の貴金属だと大ダメージですよね。
プラチナと同じぐらいの輝きをもちながら、プラチナより安価、ということで「京セラ」よりすでに各種の「コバリオンジュエリー」が販売されています。
プラチナ950とほぼ同等の「明度」「色相」「彩度」だそうです。テレビ画面で見てても、キラッキラでした。
品ぞろえは、リング、バングル、ペンダントなど。価格は2万9千円代から32万円ぐらい。結構幅がありますね。ただ、写真を見る限りかなり重厚感があるので、これをプラチナ950で作ったら、おそらくもっと高額になるだろうなと思います。
金属アレルギーの人もつけられるとあって「夢の金属」として売れ行きは上々だそうです。
今は「京セラ」より、サラ・ジョーダンというイギリスのジュエリーデザイナーの作品が販売されているようです。
「コバリオン」で、ナイフや酒器も作られているそうです。また、医療器具への応用も進められているそうで、これこそ金属アレルギーの方には朗報ですね。
★ 京セラ ジュエリー通販 コバリオンページ
Amazonでの取り扱いもあるようです。
コバリオン「コステロデザインリング」として世界デビュー
そして株式会社エイワの売り込みにより、来年3月より、ダイアナ妃のデザインも手掛けたイギリスの大御所デザイナー、ポール・コステロのデザインによるコバリオンの指輪が発売になるそうです。
番組では、コバリオンのもつ「輝き」「手触り」「重厚感」をデザイナーらが褒める様子が映っていました。金属アレルギーに強いというのも好印象だったようです。
「ロード・オブ・ザ・リングの指輪みたいだ」というのは、すごい褒め言葉ですよね!
「コバリオン」は高硬度ゆえに加工も難しくデザインが制限されてしまうようですが、そのあたりも折り合いをつけて「コステロブランド」として発売されることになりました。
WBSでは、定期的にコバリオンを取り上げているようなので、続報に期待というところですね。
株式会社エイワは、番組内でも言っていましたが、大きな会社ではありません。岩手県釜石市にある、従業員数50名の企業です。
「コバリオン」開発には足掛け10年かかっているそうです。その間に、東日本大震災もありました。その、地方の中小企業が、いきなりイギリスのトップブランドへ売り込みに行って成功する。
すごい時代になりました。
それにしても、日本の中小企業って本当に優秀ですね!
★ テレビ東京 【WBS】ワールドビジネスサテライト
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