堺から女だてらに商いの道をひた進む『あきない世傳 金と銀』

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オススメ時代小説第4弾は、『あきない世傳 金と銀』です。

みをつくし料理帖』で知られる高田郁さんの新作で、まだシリーズ途中のお話です。

 

モノが売れない「享保」の時代。田舎の村から大阪の呉服商「五鈴屋」に齢九つで奉公に出された女主人公、「(さち)」。

父親が学者だったことから他の子供達とはやや異なる素地と視点を持っていた幸は、女衆(下働き)の身でありながら、番頭に芯の強さと商才を見込まれ、徐々に商売の面白さに目覚めていきます。

 

舞台が大阪の時代小説は、もちろん今までもありますが、私は初めて読むので、江戸が舞台の小説と比べて諸々面白く感じます。

最初の間は大阪の街が舞台ですが、途中からは江戸にも進出、舞台を江戸に移します。

 

作中に登場する大阪の「なまり」も心地よく、当時の世情や風物……当時の大阪の商家の取り決め事とか、女は主人になれないとか、流行りの着物は何なのかとか……が本当にとても細かく調べられているのが分かります。

かといって、読んでいても全く「うんちく」という感じはせず、主人公と同じ「時」を生きているような感覚を覚えます。

境遇に翻弄される主人公があまりに過酷で、時折読むのが辛くなるほどなのですが、主人公の持ち前の「強さ」で運命を切り開いていきます。

この作者のことですから、きっと最後には主人公の名前の通り、幸せを掴んでくれると信じています。

この作品も『みをつくし料理帖』同様、いずれドラマ化されそうですね。

二転三転する物語、「続きが待ち遠しい」と思えるシリーズ作品です。


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