「ゲーム障害」の報道に不満があったので

自分で調べることにしました。

先日、WHOが「ゲーム障害」を疾病と認定、というニュースが流れ、ツイッターのトレンドにも上がりました。

当ブログでも以前、ゲーム障害については記事を書いております。

関連記事

WHOがゲーム障害を精神疾患に、のニュースを調べてみた【追記あり】

※ 機械翻訳を介しておりますため、正確性は保証いたしかねます

この記事は昨年末にアップし、年明けに追記しています。個人的には、「上の記事を書いた時点と、現状ほぼ特に変化なし」が結論になります。

WHOの草案に「ゲーム障害」の文字が載っていたのは以前からですし、まだ正式に決定されたわけでもありません。

WHO総会で正式に承認されるのは2019年5月、もしここで承認されれば、運用が始まるのは2022年1月1日からです。

今一般の人が騒いでも何もならない」というのが現実でしょう。

私が今回引っかかったのは、NHKの「取り上げ方」です。

このニュースを見ると、「ゲーム障害」が病気として正式に決定され、かつ今すぐ対処が必要だと「世界中が認識している」かのような、あえて危機感を煽る描き方をしているな、と感じます。

同じニュースは、BBCやCNNでも報道されましたが、NHKほど「ゲーム障害認定に肯定的」ではありません。

WHO classifies ‘gaming disorder’ as mental health condition

CNNは「ゲーム障害」とは何か、「ゲーム障害」と認定される「条件」をきちんと記載しており、WHOの草案ページへのリンクを貼っています。そして「反対意見も少なくない」とし、その理由にも触れています。

いずれも、NHKの記事には見当たらないものです。

CNNに限らず、少し調べれば、「反対意見に触れていない報道」の方が「少数」であることが分かります。……というか、反対意見があることに触れてない記事がNHK以外に無いような(笑)

しかしCNNも日本版になると、微妙に印象変えてますね……。

WHO、「ゲーム障害」を新たな精神衛生疾患に分類

Huffingtonpost(朝日新聞提供)の記事には「科学的な根拠に基づき疾患に加えた」と記載されていますが、海外の報道を見ると、むしろ「科学的根拠に欠ける」というのが大きな「反対の理由」であることが分かります。

ゲーム依存症は「疾患」 WHOが「ゲーム障害」として認定へ

WHOの原稿に記された「ゲーム障害」の定義は以下のようになっています。

1)制御障害

ゲームをプレイする頻度、継続時間、終了時間のコントロールを、継続的に失っている状態

2)ゲームの優先度が、他の生活上の利益および日常活動よりも優先される

3)個人的、家族的、社会的、教育的、職業的または他の重要な機能領域において重大な障害をもたらすほど否定的な結果の発生にもかかわらず、ゲームを継続させる、または拡大させる

これらは連続的、一時的、反復的であり得る

WHOの根拠としては、

アジアでゲームの人口が急激に増えており、「ゲームをやり続けて(マラソン・ゲーム・セッション)亡くなってしまった」人の例がある事、日本、韓国、中国でゲーム時間を制限する法律や決まりが導入されている事、などが挙げられています。

色々な記事を見たところ、「ゲーム障害」と認定されるか否かには、「ゲームによって収入を得ているかどうか」「ゲームで生計を立てているかどうか」は関係が無いようです。

ゲーム実況で家族を養っているような人であっても、症状が当てはまれば「ゲーム障害」と認定される可能性はあるわけです。

しかし、アメリカ精神医学会、米国心理学会、高等教育ビデオゲーム同盟(HEVGA)、米国電子ソフトウェア協会(Electronic Software Association)ほか、多くの専門家たちが「ゲーム障害」を疾病とすることに反対しています。

Video Games Aren’t Addictive

Preeminent Researchers and Scientists Oppose WHO’s Proposed Video Game Action

反対の理由として、

「WHOの決定には透明性が欠けている」
「WHOが疾病と判断するに至った科学的な証拠が提出されていない」
「WHOの症状の定義は明確ではなく、治療法も指定されていない」
「中毒がどのように引き起こされるか分かっておらず時期尚早」

以下のような意見もあります。

「中毒症状」が何によって引き起こされているか分からない以上、適切な治療(主に薬物の処方)ができない

強迫観念とゲーム中毒を区別することは難しい

まず精神疾患があって中毒症状がある場合、却って診断を誤らせ、治療を妨げる恐れがある

そもそもゲームに詳しくない臨床医が適切な判断を下せるのか

いずれも「なるほど」と思える指摘です。

欧州ゲーム開発連盟(European Games Developer Federation)は、ゲームに熱中するのは熱狂的なスポーツファンのようなものだ、とし、WHOの方針は「道徳的なパニックを引き起こし、診断の乱用につながる可能性がある」と反対を表明しています。

ツイッターで「ゲーム中毒」をキーワード検索してみると、「道徳的なパニックを引き起こす」という指摘が、全く正しいことがよく分かりますね。

STATEMENT ON WHO ICD-11 LIST AND THE INCLUSION OF GAMING

‘Gaming disorder’ classified as a mental health condition, but is the move premature?

アメリカの高等教育ビデオゲーム同盟(HEVGA)は、暴力事件や幼児期の肥満、教育政策の失敗、その他現代的な問題が繰り返し「ゲームのせい」だとされる、と言っています。

日本の報道でもよくある光景……。

英国のガーディアンは「政治的な問題かもしれない」と記載しています。

記事には、「WHOはゲーム中毒を疾患に含めるように、アジアの特定の国からの強い圧力下にあった」と書かれています。

この「特定の国」はどうやら中国と韓国のようですね。

‘As addictive as gardening’: how dangerous is video gaming?

なぜ「ゲーム中毒」を「病気」にしなければならないのか、事情はよく分かりませんが、「健康の前に政治を置く事」に、多くの関係者が懸念を表明しています。

定義や治療法が未定な「ゲーム中毒」の診断が乱用されることで、治療と称して子供の思想教育や軍事教育に結び付けられかねない事、(韓国がゲーム中毒の治療に電気ショックを用いている例を挙げて)身体的、精神的な虐待につながりかねない事、にも懸念が寄せられています。

今、ゲーム業界が得ている利益も大きいでしょうが、ゲーム障害が病気となることによって生じる利益も、それは大きなものでしょう。

結果として「本当に治療を必要としている人」が見過ごされたり、誤った治療を受けさせられたりすることを、反対意見を述べる多くの医者や科学者は心配しているようです。

このように、「ゲーム中毒」には様々な意見があり、思惑もあることが分かります。

日本の報道の「ゲーム中毒は麻薬と同等」といった、無駄に煽情的な見出しに躍らされていてはダメですね。

もっとも、海外のサイトでも「デジタルヘロイン」といったショッキングな用語が踊っていますけれども……。

それでは、以上です。



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