旅行で海外を訪れることはあっても、「外国に住む」となると、一味も二味も違いますよね。そんな「海外で生活してみたらこんな感じ」を、個人目線で楽しめるコミックエッセイ本を、6か国分、ピックアップしてみました。
◆ アメリカ合衆国
アラスカ・ワンダホー!
父親の転勤の都合で、アメリカ合衆国は最北州・アラスカで暮らすことになった世鳥一家。主人公はJK。アメリカのキャンパスライフかと思いきや……極寒の地アラスカでの高校生活は、「アメリカ移住」という言葉から思い浮かぶイメージとかな~り違っていました。
そんな「アラスカならでは」のエピソードも、「やっぱりアメリカだな~」なエピソードもあるコミックエッセイ本。著者「世鳥アスカ」さんが高校生当時のことなので、色々とまだ世間ずれしていない印象もあるのが、読んでいて微笑ましいところです。
◆ イギリス
渡英2年うめだまのイギリス自由帳
アラサーで渡英した著者が見たイギリスの暮らし。全ページフルカラーです!
日本のゲーム会社を辞めて、イギリスで就職し、その後大学へ。著者「うめだま」さんが見た最新のイギリス事情です。
海外ではSIMカードはどうなのか、のような細かい情報から、イギリスの職場環境や結婚事情、季節ごとの行事など、ありとあらゆる角度からイギリス(と日本)について描かれていて、とにかくボリューム満点の本。真面目でサービス精神旺盛なお人柄がうかがえるようです。
草食系イギリス男子と30代婚活女子の国際結婚を描いた日常コミックエッセイ『英国紳士と国際結婚』もオススメです。「海外生活!」と身構えたところの無い、肩の力の抜けた感じがイイです。
◆ ドイツ
とつげきドイツぐらし!
2016年「月刊 アフタヌーン」でデビューし、『あたりのキッチン!』を連載中の著者「白乃 雪」さんの、ドイツ・ハンブルクでの夫婦生活。ドイツ語も話せないままドイツ人と結婚、大学卒業後すぐ渡独。
割と常識的なところでのカルチャーギャップが描かれているのでそれなりの年齢の方かと思ったら、まだお若い方でした。目線がとても庶民的です。
続編『ほのぼのドイツぐらし。』も出版されています。
◆ フランス
フランスはとにっき:海外に住むって決めたら漫画家デビュー
30歳目前で、無職で独身の著者「藤田里奈」さんは、ワーキングホリデーで海外に住むことを決意! しかし幸か不幸か同じタイミングで漫画の連載が決まってしまい……。
今回ご紹介するコミックエッセイの中でも、もっとも「勢い」のある本だと思います。著者の自画像だけが(なぜか)ハトになっていますが、それ以外の人物描写は普通です。極度の方向音痴なのに行き当たりばったり……有能なルームメイトにままならぬご近所づきあい……まさに抱腹絶倒ドタバタ珍道中です。出国から帰国まで、全三巻に収められています。
本屋さんに行ったら「動物コミック」の棚に並んでいて、笑っちゃいました(笑)
◆ イタリア
北イタリアまったりマンガ家夫婦日記~アンドレアといっしょ!~
北イタリア・ボローニャ発の「ほっこり」コミックエッセイです。
大学生時代に、大手出版社より少女漫画家としてデビューした著者「いちぐちけいこ」さんですが、デビュー後は鳴かず飛ばず。「人生をやり直そう」と漫画家を辞め、学生時代の語学だけを頼りに、誰ひとりとして知り合いのいない北イタリアの町ボローニャへ移住します。
イタリアの生活はもちろん、ご夫婦とも漫画家ということで、イタリア(および欧州)の漫画事情なども描かれているのが興味深いところ。ページ数も多く、読みごたえがあります。細かい不満はあっても住めば都、という印象の、やさしい漫画です。「市口桂子」名義で、ガイド本も何冊か出されているようですね。今年10月には、TBS系列「世界・ふしぎ発見!」にも出演されました。
●いちぐちけいこさんのブロぐ
「ボローニャ、ときどき大阪」
イタリア在住ということでは『テルマエ・ロマエ』の「ヤマザキ マリ」さんも有名ですけれどもね。
◆ トルコ
わたし今、トルコです。
トルコが好きで好きで、ついには移住をしてしまったという漫画家市川ラクさんの体当たりコミックエッセイです。言葉も分からず、カルチャーギャップもあり。行ってみて分かったことなども色々。トルコ事情に限らず、語学学校でのエピソードなども面白いです。
続編『イスタンブールには、なんで余裕があるのかな。』も出ています。
トルコが舞台のコミックエッセイというと、トルコの方と国際結婚された漫画家、高橋 由佳利さんの『トルコで私も考えた』シリーズも有名ですね。
◆ さいごに
今回ご紹介したものは「海外礼賛モノ」ではない、「海外での個人の日常生活」ばかり。「自然体で地に足のついた」ものなので、大上段に構えた内容にならず、「比較文化紹介」としても等身大の「体験談」としても気軽に楽しめると思います。
(紙の本では品切れだったりするようです。電子版などご活用ください)
異文化を、文章でいろいろと想像しながら味わうのも良いモノですが、コミックになっていると、よりとっつきやすく、より身近に感じられますね。
ツイッターでこまめに更新されている作家さんも多いので、私はこっそり拝見させていただいて、毎日楽しませていただいております。もちろん御本も手元にありますよ!
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